294ページと、個人的には読みごたえありました。
ちなみに、本書は電子書籍を基に加筆・再構成したものとのこと。
個人的には、ITベンダーや、某企業のIT部門に常駐したことがあります。
やはり、人月換算するのは害悪ですね。
なんとなく数値にしたらわかりやすいイメージですが、人の能力が全く換算されていないので、新人でもエキスパートでも、1ヶ月かかれば1人月となります。
例えば某企業に10年いましたが、10年前は14人日のちょっとしたシステムが、最近では2人日となったりすると、スキルがあがった分だけ期間が短くなったわけですが、2人日が基準になってしまうと、他の人は大変でしょうね。。。
読んでいて、「あるある」がほとんどでした。が、「これはちょっとどころか、かなりひどい」というものもありました。
「ITベンダーがぶち切れた”仕打ち”の理由」の部分では、実話でなく架空でもなく、総合して話を組み立てたとのことで、その話は、以下の流れ。
A社のIT部門もうなるSCM(サプライチェーン管理)関連のSIerの提案 → しかもA社の経営層や事業部門のヒアリングも好評 → 好評の理由はSIerの提案作成にはエース級の人材を投入したから → A社システム部長は口頭で「発注させていただく」とSIerの営業担当者に伝える
異変発生!システム部長と連絡がとれず → ようやく連絡がとれたと思ったら「コンペになった。RFP(提案依頼書)を送るので改めて提案して欲しい」、とのこと → 後日受け取ったRFPは、そのまんまコピーだった!! → コンペの結果、SIerが提示していた金額の半分の見積もりを提示したベンダーに決定!!
結果と真相
半額で提示し決定したベンダーは、SCM関連の実績はなく、炎上し、大赤字
コンペとなった原因は、調達部門が購買の決定権を握っていたから。IT部門の説得も受け入れなかった、と。
やれやれ。。。
個人的には、おもしろいでした。
ま、仕事は自分でなんとかやる方向で考えていますが。。。
本の目次があると、興味をひきそうなので、書いておきます。
第1章 開発を忘れたIT部門の悲喜劇
- 寿命が尽きるIT部門に「終活」のススメ
- 経営者の間で台頭するCIO不要論
- 「うちの社長はITが分からない」の欺瞞
- 「社長が悪い」と痛罵するIT部門のたわ言
- ITを人減らしの道具にしなかった日本企業の罪と罰
- 大企業のシステムを中小企業が嗤う理由
- 超簡単、IT抵抗勢力のつくり方
- IT部門はシステム運用から手を引くべし
- クラウドにまつわるIT部門の嘘を見分ける
- ネット起業の劣悪なIT活用に見る日本企業の根深い病理
- IT部門は外資系ソフトベンダーの”いい加減さ”を学ぶべし
- IT部門の権限を海外に移せ
- IT部門をベンダーに売るぐらいなら解体せよ
- 既存のIT部門では無理!”第2のIT部門”を創ろう
- システム障害は起こったほうがよい
- システム障害でなぜ社長が謝罪するのか
- 【実録】社長から「君たちは要らない」と宣告されたIT部門の4年後
第2章 ガラパゴス化する日本のIT業界
- 日本だけ!「SIガラパゴス」に明日はあるか
- 人手不足と騒ぐITベンダー、もういい加減にしなさい!
- IT業界の人月商売、多重下請けがもたらす45の害毒
- 人月商売に技術者を固定し続ける日本の危うさ
- いつまでブラック企業の世話になるのか
- SIガラパゴス、多重下請け構造の終焉の始まり
- 国内IT業界の再編、馬鹿げているこれだけの理由
- 顧客のためにクラウドに取り組むITベンダーの愚
- ユーザー企業がITベンダーを駆逐する
- 日本にはIT産業は無くIT利用産業も無い
- お客様相手に協業を持ちかけるITベンダーの愚かさ
- 「失敗プロジェクトの理由」を嗤う
- 失敗プロジェクトの何が悪い!
第3章 顧客とITベンダーの不条理な関係
- 日本企業にソフトは売らない
- 世界に通用するITを育てない罪
- 感動するバカ、怒るアホウ
- プロジェクト延期の無恥と無知
- ITベンダーに「提案料」を支払っていますか
- ITベンダーがぶち切れた”仕打ち”の理由
- ITベンダーの提案書をコピペしたRFPの恥知らず
- 法外な開発料金の根拠、「客には絶対に言えません」
- 開発に失敗して、ITベンダーに逃げられた甘えの論理
- ロックインを怖がり、マルチベンダー体制を維持する愚
- IT部門が没落すればIT業界の大概の問題は片付く
- ITベンダーが狙うIT部門飛ばしの極意
- 開発丸投げの作法を忘れたユーザー企業
第4章 技術者のキャリアの危機と可能性
- 技術者を襲う3年後の悲劇
- 技術者をプロジェクトマネジャーにするな
- 技術者はSEになるな、「何でも屋」になれ
- 成長できないプロジェクトマネジャーの寒い将来
- ”男らしい”女性プロジェクトマネジャーを増やす愚
- 効果絶大!IT部門に”異分子”投入
- 企業システムの技術者が駆逐される日
- どう考えても、基幹系の技術者は駆逐される
- ヒーローを否定する”ITムラ社会”
- ユーザー企業の技術者は転職せよ
- 自分の仕事を無くしてしまえ